【書評】人工知能が人間より賢くなってしまったら、人間は何をすればよいのでしょうか?

公開日: : 書籍紹介

 

弟子の投稿です。

 

みなさんは「シンギュラリティ」という単語を聞いたことはありますか?

 

コンピュータの性能がますます発達していくと、人工知能がやがて全人類の知性を凌駕する時がやってくると言われています。そのタイミングが特異点(シンギュラリティ)で、それが2045年にやってくると予想されています。このような未来を予見しているシンギュラリアン(特異点論者)と呼ばれる人たちの代表格が、人工知能研究の権威であるレイ・カーツワイルです。

 

彼によれば、人工知能があらゆる労働において人間にとって代わり、さらに遺伝子工学やナノテクノロジーの発展によって人間はナノボットと言われる無数の小さなロボットを体内に入れて身体の活動を制御し、老いることなく今よりさらに長い寿命を全うすることができるになったり、脳から直接インターネットに接続して世界中の知識にアクセスできるようになります。

 

人口知能はますます発展して人間に近づく。人間は機械に近づく。

おそらく未来の私たちは人間とは何かというテーマについて深く悩まなくてはいけません。

 

たとえば肉体を老化させる遺伝子を抑制して、細胞を若く保つ技術が社会に普及すれば、人間が死なないか、永遠とも感じられるくらい長生きできるかもしれません。

「存在と時間」のなかでハイデガーは、死を想起することで本来的な存在に目覚めると言いました。つまり生と死の中で現れては消えるという曖昧な存在が人間だという前提に立っているわけです。曖昧な人間にたいして、絶対的な存在である神は、長らく哲学のメインテーマの1つでもありました。

 

そんな前提が、ちかい将来、崩れてしまうかもしれない。存在というものを捉え直すというけっこう大変な仕事が私たちに待っているかもしれません。

 

また、全ての労働を人間からAIに置き換えてしまうこともあるかもしれません。ほとんどの職業において、人間よりAIが働くほうが効率がよく正確で、クオリティが高いという状況になれば、労働の対価として収入をえて生活する人間のあり方が根本的に変わってしまいます。

 

そういう時に、人間は何をするのか?人間が人間らしく生きるとはどういう事か?都市国家のアテネの市民階級のように政治や哲学に専念し、奴隷に労働を任せていたように生活するのか?これまた大変なテーマです。

 

 

わたしたちの心の整理がつかない間にも、技術は否応なく進歩していきます。科学がどんどん発展していった先に、本当に問題になってくるのは実は人間がどういう選択を下すのかという事ではないかと思います。

 

技術的には可能だけど、それを本当にやるのか、やらないのか?

 

かなり重大な決断を下すにあたり、どのような哲学的、思想的背景に基づいて行うのか。それが大切になるのではないかと思います。

 

 

 

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